Sler系企業の特徴について説明します。

こんにちは、たなかです。今回も文字起こしです。

とてもリアルかつ配慮された伝え方が勉強になりました。

参考にしたYouTube

https://www.youtube.com/watch?v=fS36V9mboTY

 

Slerとはなんの略?
「System Integration」に人を表す「〜er」をくっつけた和製英語
Slとは「システムを導入しようとしているお客様の面倒を、最初から最後まで見てあげること」を小難しくした表現。
もう少し小難しく言うと、「システムの導入に際して、分析から開発、運用に至るまで、すべての面倒を見てあげること」
 
Slerの分類
・メーカー系
・ユーザー系
・独立系
が存在している
メーカー系
富士通NEC、日立など主にコンピューター関連の製品を製造している電機メーカーの子会社や系列会社のSlerのこと
メーカーさんのIT部門が分離した。本体の親会社さんのIT案件を受託して開発する事もあれば、それと関係なく別の会社さんの案件を受託して開発している場合もある。基本的には親会社さんが作っているハードウェアとかソフトウェアを使ってシステム構築を行う。当たり前だがライバル会社さんのものはなるべく使わない
メーカー系の特徴としては比較的安定している。親会社さんが安定している限りは子会社さんも安定している。東芝さんのように本体自体の経営が結構危うくなっているメーカーさんもある今後どうなっていくかはからない。
 
ユーザー系
銀行、保険会社、商社、電力、鉄道などメーカー系以外の大企業の系列会社のSlerのこと
基本的にはメーカー系以外の大企業の子会社のSIさんは全部。これも基本的には親会社さんのシステム構築が中心になる。また、親会社さんで得たシステム構築のノウハウを同業他社のシステム構築に提供している会社さんとかもある。例えば保険会社さんのシステム構築はかなり色々なノウハウが必要になるが、そういうノウハウを別の保険会社さんのノウハウを別の保険会社さんのシステムを構築するときに活用するケースもある
こちらもある程度親会社さんの安定度に比例する
 
独立系
メーカー系やユーザー系以外の、何らかの巨大な企業グループに属していないSlerのこと
日本のSlerのほとんどは独立系に属する。中小企業のSlerさんは独立系に属すると考えていい。
多重請負構造というのがSIさんの業界にはある。その場合にプログラミングを担当するのは主にここの独立系に該当する企業。構造上どうしてもブラックになりやすい。三次請け、四次請けになってくるとどうしても労働環境が悪化してきやすい。「人売りSler」と揶揄される企業さんもここに属する
またアクセンチュア等の「コンサルティングファーム」と呼ばれる企業も分類的には独立系Sler。中小独立系Slerとは異なりコンサルティングファームは、要件定義等の「上流工程」をメインにしている独立系Slerはプログラミング等の「下流業務」をメインにしているところが違う
 
Slerの特徴1
メーカー系やユーザー系のSler限定ではあるんですが、社会インフラとして成り立つような超大規模プロジェクトの開発が経験可能であることが大きな特徴。ただしその場合プログラミング、エンジニアリングというよりはプロジェクトの管理が主な仕事。例えば金融系システム、交通系システムなど、例外はあるのですが、大規模な金融系システムとかに関しては、Web系企業ではまず経験できないので、非常に大人数でやる大規プロジェクトを経験したいと思ったら、基本的にはメーカー系、ユーザー系のSIerにいくしかない。いま(2018/02)、みずほ銀行の「システム統合プロジェクト」の費用は総額3000億円を超えたが、この規模の開発を日本のWeb系企業で経験することは不可能
 
特徴2
開発方式は基本的に「ウォーターフォール型」である
※開発方式が滝(ウォーターフォール)のように
要件定義→基本設計→詳細設計→製造→テストのように上から下に流れており基本的には後戻り出来ない方式なのでウォーターフォール型と呼ばれる
 ※ここから「上流」「下流」という用語が発生した
要件定義を担当するのが、ITコンサル
要件定義を元に設計を担当するのがSE
SEからの指示でプログラミングを担当するのがPG
 
SE/PGという呼称が存在する
PGは基本的にSEが作成した仕様書通りにプログラミングする
SE,PGということばだ出てきたら基本的にSlerのことを言っていると思って間違いない。たまに間違えて混同して使われてしまっていることもあるが、SE/PGといったらSlerのこと。Web業界ではそこで働いている人はエンジニアとかデベロッパーというので、SE/PGという呼称は存在しない。
 
上流/下流という考え方が存在する
※実質的な身分制度のようなもの
上流が偉い下流があんまり偉くないみたいな文化が正直Slerさんは、ぼく昔Slerさんに居たんですけどちょっとあるなとは思います。これもひとつの特徴ですね
※転職サイトでも「SEからITコンサルにステップアップ」的なキャッチコピーが普通に使われている
※大規模案件の場合
要件定義等の「最上流」業務を行うITコンサル、
要件定義を元に設計作業等の「上流」業務を行うのがSE、
設計を元に製造等の「下流」業務を行うのがPGという役割分担になっている
 
多重請負構造
ちょっと難しい用語なんですが、要するにあるシステムの発注を請けた企業が更に外注さんを雇ってその外注さんが更に外注さんを雇っていくようにどんどんどんどん不外注さんを雇う多重構造のこと
当然のことながら末端にいくほど利益が薄まっていくので一番最初に請ける元請けさんが得をする構造
※この構造が建設業界と酷似していることから、「ITゼネコン業界」と揶揄されたりもする
※建設業において実際の工事を担当する現場作業者がある意味差別用語ですけど「土方」と呼ばれることになぞらえて、中小の独立系SlerのSE/PGは「IT土方」と呼ばれたりする。それはこの構造のため。基本的に多重請負構造の末端にいくとお金も安いですし労働環境もブラックになりやすいので、Slerブラック企業と呼ばれやすいのは多重請負構造の末端にいる独立系Slerのことを指していると考えてほぼ間違いないと思いますメーカー系ユーザー系のSlerさんもブラックになりやすい所もあると思いますが、そうはいっても元請けさんのところと一番末端で請けている人たちの労働環境というのはどうしてもいろいろな面で差が出やすいと思います
 
※メーカー系やユーザー系のSlerは親会社の風土や制度に大きく影響をされるので、親会社が年功序列なら子会社もまた年功序列にならざるを得ない。
年功序列は別に悪いことでではないのでひとつの会社で定年まで長く働きたいという人には向いているかもしれない
※中小の独立系Slerはこの限りではない。そもそもその会社に長く勤める人も少ないと思いますし、その会社さん自体が長期間存続できるかという可能性もそんなにたかいわけではない。ので人事制度や昇進制度が整っていない会社も多い。
 
「枯れた技術」しか使用できない
※枯れた技術とは、「時代遅れだが、安定していてノウハウが既に確率している技術」のこと。Slerのビジネスにおいては仕様書道理のものができればいいというのがほとんど、新しい技術を使うメリットが特にないというかものがちゃんとできればいいのでリスクの少ない「枯れた技術」が好まれる古いけれども安定していてノウハウが確立されている技術が好まれる
※Web系企業と比較するとプログラミングとエンジニアリング周りの技術面で時流にキャッチアップできなくなる可能性が高い。特にメーカー系やユーザー系の企業はそもそもプログラミングを行わないのでそちらに行ってプログラミングスキルを磨こうというのは基本的にはほとんど無理と考えていいと思います
 
給与を揚げたければ上流にいくか管理職になるしかない
※プログラミングやエンジニアリング系の技術を深めて行きたい人のキャリアパスが用意されていない場合がほとんど。例外はある。基本的にエンジニアリングの技術はある年齢からは全く重視されなくなるというかマネジメントだったりとか人員をマネジメントできる能力だったりとか。マネジメント系の能力がSIerさんでは給料をあげる上では非常に重要になる
 
スタートアップ企業は存在しない
※利益構造が労働集約型で儲けが受注額を超えることがない、つまり「収益がスケールしない」ので投資対象としての魅力が薄い。
ベンチャーキャピタル(VC)がSlerに投資するというケースは聞いたことがない
 
Microsoft系のテクノロジーを使った開発案件が多い
※Web系企業ではサーバーサイドには「Linux」というOSを用いることがほとんどなので「.NET Framework」や「SQL Server」等の、Microsoft系のテクノロジーを使った開発が行いたい場合は独立系Sler以外の選択肢はあまりない。Microsoft系の技術を学びたい場合は、独立系SlerさんでMicrosoft専業でやっているみたいな所に行くしかないかなあと思います
 
客先常駐が非常に多い
※Web系企業では基本的に自社サービスの開発がメインなので、自社のオフィスまたはリモートワークの場合は自宅等で働けるが、中小独立系Slerの場合は発注元の企業や上流の会社が定めた作業場所で働かざるを得ないことが多い 
 
スーツ勤務を指定されることが多い
 
リモートワーク可の職場は少ない
出社しないで、自分の家とか好きなところ、カフェとかで働いてもいいよという    web系企業の会社さんが増えてきてるSlerさんでもあるとは思うんですがかなりレア。客先常駐の事があったりだとか、大企業文化というかそういうところがあるので、基本的にオフィスに出社して働こうという感じでリモートワークで働きたいという感じでは適切なSlerさんを見つけるのは難しいかも
 
情報発信に熱心ではない
※Web系企業はリクルーティングも兼ねてエンジニアの人たちが書く「エンジニアブログ」を公開しているケースが多いがSlerでそのような情報発信を行っている会社はあまり見たことがない
Slerはそもそも技術的に新しい技術に取り組める機会が少なかったりするので、そもそもエンジニアブログに書くことがどうしてもないという感じだったりとかセキュリティや契約的なしがらみで技術情報を公開できない環境になっているからですね。web系企業は基本的に自社のシステムを作っているのでもちろん公開できない情報も多々あるんですけども技術的な部分で公開できる情報も多々あるのでweb系企業はそういう情報を外部に公開するっていうのに非常に積極的それに関連して、業務中はツイッターFacebookにアクセス禁止になっている。それはネットワークで遮断されているのでSNSにアクセスできない。それは情報漏洩防止のため。
 
コミュニケーション手段が未だにメールのところが多い
※最近のWeb系企業はコミュニケーションツールにSlack等のチャットツールを使ってやり取りすることが多いんですがSlerさんだと未だにメールでやり取りするケースが多い。Web系企業さんだと勤怠連絡にLINEを使ったり積極的にいろんなSNS使ったりしてるんですけどもSlerさんとかだと社内のコミュニケーションもやっぱり昔のツールを使いがち、なかなか新しいツールを使うことが難しい傾向がある